• TOP
  • >
  • 著者/高羽そら

ごあいさつ

 『永遠なる玉響(たまゆら)』のホームページを訪問していただいて、ありがとうございます。この素敵な出会いに感謝しています。ネット社会に数多の情報があふれているなか、私の書いた文章に目を留めていただいたということだけで、読者の方たちとの目に見えない深い縁を感じています。
 
 私は2012年に『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を出版しました。いわゆるスピ系の書籍ですので、私がそれまでスピリチュアルの世界で体験してきたことや感じてきたことを、その本に記したつもりです。しかしその本の出版と同時に、大きな葛藤を抱えることになりました。
 
体験というものは主観的なものです。どれだけ文字を尽くして語っても、ありのままを伝えることはできません。体外離脱体験の派手な部分ばかりが際立って、最も大切なことが曖昧になってしまうように感じていました。大切なことを誰かに伝えるためには、一方通行では押しつけになってしまいます。メッセージを発信する人と、それを受け取る人とのあいだに、自由な空間を存在させることが必要だと強く感じていました。
 
 そう考えて初めて書いた小説が『ゼロの物語』です。この作品は明晰夢での体験を元にして書いたもので、小説という形式をとりつつ、精神世界を物語に投影した作品です。詳細については『ゼロの物語』のホームページで語っておりますので、訪問していただけたら幸いです。
 
 そして同じ目的で書いた2作目の作品がこの『永遠なる玉響(たまゆら)』です。この作品もスピリチュアルな体験が背景にあります。ところが前作は私の明晰夢体験から生まれた作品ですが、この作品は少し元ネタがちがいます。上巻のあとがきにその出来事を書かせていただいいたので重複しますが、ここでも簡単に紹介させていただきたいと思います。
 
 1997年の夏のことです。私と妻は夏の流星群を見るために、当時住んでいた京都から空気の美しい天川村に向かいました。けれどもあいにくの曇り空でしたので、流星を見ることはできませんでした。
 しかし翌日の早朝、言葉で説明できない不思議な出来事を体験しました。その場所は天河大弁財天社(てんかわだいべんざいてんしゃ)の裏手の丘にある『南朝黒木御所跡(なんちょうくろきごしょあと)』でした。この物語の最初の舞台となったところです。
 ──南北朝の時代、ここにいた南朝の人々に集団ウォークインが起きた。
 なんとも不可解なメッセージを受け取ったのです。ウォークインというのはスピリチュアルの用語で、ある種の憑依現象のようなものです。とにかくそのことに関する物語を書くならば全面的に協力する、とのことでした
 
 とまぁこんなことを言われたとしても、当時の私は小説を書いたことなどありません。どうすることもできず、悪戯に年月だけが過ぎていきました。ところが最初の本を出版したことがきっかけとなり、『ゼロの物語』を上梓することができました。そうなればこの謎のメッセージを無視するわけにいきません。
 
 ところがそれからが大変でした。本文の巻末の参考図書をご覧になっていただけたらわかると思いますが、可能な限りの文献を読破しました。それでも物語の構想がまったく見えてきません。メッセージを送ってきた存在が協力してくれそうな気配もありません(笑)
 
 そうして歴史の勉強を続けているとき、興味深いことに気がつきました。南北朝の時代、天皇の正当性を証明する三種の神器が、南朝と北朝を行ったり来たりしていたのです。後醍醐天皇が偽の神器を作ったのがきっかけで、本物と偽物の三種の神器が入り乱れながら、南と北を往来していました。
 
 この事実を知ったとき、ようやく物語の糸口が見えてきました。さらに天川村の洞川(どろがわ)という地域には、鬼にまつわる言い伝えが残っています。大峰山で修行する修験者が利用する宿を営業している人たちが、鬼の子孫と呼ばれているのです。こうして天川村、三種の神器、そして鬼が物語の構想として浮かび上がってきました。さらにこの段階で奇妙な人物が目につきました。どう見ても同じ人物なのに、北朝側と南朝側の史料では年齢が違うのです。それが小倉宮聖承(おぐらのみやせいしょう)でした。
 
 京都では後亀山天皇の息子である恒敦、聖承、そして教尊と言う『三代』が小倉宮として知られています。ところが南朝側の史料である十津川村に残された書物には、恒敦と聖承が同じ人物として記述されています。つまり小倉宮は『二代』しか存在していないのです。吉野では一人として認識されている人物が、京都では親子として知られていることになります。何という不可解な人物でしょう!
 
 ここまできて、ようやく物語の構想が見えてきました。ということで本物の三種の神器を求めて、過去と未来を駆け抜けた登場人物たちの活躍する舞台が整いました。謎のメッセージを伝えてきた存在が満足してくれたかどうかわかりません。でもこうして大勢の人の目に触れる機会を得たということが、彼らの答えなのかな、と勝手に想っています。
 
 このホームページは、一人でも多くの方に『永遠なる玉響(たまゆら)』を知っていただきたいという思いで制作しました。訪問していただいている方で、すでに作品を読んでいただいている方もいれば、まだ読まれていない方もいると思います。
 
 読まれていない方は、是非一読してみてください。14世紀と23世紀をタイムトラベルしながら、登場人物たちは『永遠』と『一瞬』が同じ『今』であることを見出していきます。その冒険に参加していただけたらと思います。
 
 そして読んでいただけた方で、面白いと思っていただけましたら、どうかお知り合いの方に紹介してください。職場や学校、あるいは親戚や友人、そしてSNS等のネットの友人たちに、この物語の存在を教えていただけたら嬉しいです。そうした皆さんの口コミを通じて、一人でも多くの方に『永遠なる玉響(たまゆら)』を知っていただくことができれば光栄です。
 

高羽そら

高羽そら プロフィール

1962年京都市に生まれる。
2008年に神戸へ生活の拠点を移してから、体外離脱を経験するようになる。
体外離脱や明晰夢の体験を記録するためにブログを始めたが、現在ではそれらの体験をもとにした物語を書き続けている。


著書

『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)
『ゼロの物語』三部作(有限会社オフィスニグンニイバ)
『Story of Zero BookⅠ~Encounter~』(有限会社オフィスニグンニイバ)
『永遠なる玉響(たまゆら)』上下巻(有限会社オフィスニグンニイバ)

SNS

高羽そらのアカウント名で、TwitterFacebookにても情報発信中。